岩田 次夫 久保書店¥1,260

コミケットの妖精王と謳われた、イワえもんこと岩田次夫さんの最初で最後の商業ベース著作集。
※イワえもん…その同人誌の買いっぷりはもはや伝説。本著作によれば、もはや所蔵する同人誌は冊数では把握できず、推定4トン。逝去後、搬出してみたらゆうパックのダンボール大で370箱だったとか。

そんなにたくさん刷っていないらしくて(1万部にいかないという話も)アマゾンでも一時売りきれになっていたとか。今はどうなんでしょうか。
鯖もS台駅前を中心に書店めぐりをして、6軒目でようやく見つけて即ゲット。
ま、全体の4分の1弱くらいの同人誌レビューが男性向け雑誌で連載していたヤツの再録なので、そのへんはちょっとアレだったんですけど。
※鯖さんは直接的描写よりも朝チユン的なそこはかとなくイヤらしい描写を好む。

※朝チユン…お約束の、夜→盛り上がる→後朝、という「肝心なところ(笑)がないやんけ!」とも言われるスタイル。だけど好きなんだよね〜。あれこれを暗示するというか、想像の余地があるというか。やっぱり直前直後が一番萌えると思う。

予備知識(というか内輪用語)がない人には意味不明だし、どうでもいいことなのかもしれないですが、同人誌に何かしら関わる人には是非手にとって頂きたい本だし、イワえもんが提示した問題は、腐女子として素通りするわけには行かないことばかりだ。


そうだよな〜。同人っていろんな問題を抱えながら膨張している世界なんだよな〜。

目に付くものとしても

・パロディの問題
幸い、ジャムプを出している集A社は現在のところ黙認という姿勢ですが、小○館のように、非営利目的のファンアートHP掲載にまで、法的権利と一方的な主張が入り乱れた声明文を出してくる出版社もいくつかある。もう6年も経つが、Pケモン事件も忘れてはならないし、世間の歪んだ認識もそのままだ。表面的に沈静化していても、常に考えなくてはならないことだと思う。
ナマモノジャンルだと肖像権というか、本人の意志みたいなのまで下手すりゃ出て来る。

ファンアートがどこまで認められるのか、というより(自分一人のためにしこしこと作って楽しむことには何ら問題がないので)作ったファンアートを同人誌という形で頒布したり、WEBのように不特定多数の人が見る可能性がある場所に提示することがどこまで許されるのかというのが問題なのだと思う。

・商業と趣味の問題
もう趣味じゃねえだろ、それ、という規模のサークルがあることは事実だし。
趣味でファン同士の交流してます、交流の一環として自分の作品を皆に見てもらってます、なんてレベルじゃないところまで、同人という世界は膨張してしまっているし。グッズサークルの存在とかね。

それに付随して、アンソロの問題もある。あれは明らかな海賊版だろう。買わないようにしてるけど。原作のコミックスが出る前にアンソロが出てるってどうよ(笑)
書店委託はイベント弱体化につながるという観点から、なるべく利用しないようにしているけれど、でもどうしてもイベントいけなかったときなんかに買っちゃうんだよね(懺悔)

個人的には、鯖くらいの規模で、細々とコピ本作ってるくらいの人(明らかに趣味)は大目に見て欲しいなあと思っているんですが、それではやはり無責任というものだな。
末端とは言え関わっている以上、何をしているのか、なんで参加するのか、なにを求めているのか、というヲタの根源について、その時起きている問題について考えることを放棄しては行けないのだ。

また

・表現の自由の問題。
澁澤ファンとしては、今更の感もあるんですけどね。人間の原始的な欲求の一つとして、色モノが存在するのは、それが良いかどうかはおいといて、必然なんだろう。
※松文館事件問題については、自分の子がエロ本を部屋に隠していたことに対して、親として毅然と対応することなしに、国会議員に泣きついたヤツがいることを本当に情けなく思う。
WEBでエロ画像が見放題の現状に、逆行しまくった司法判断(しかもピンぼけ)にアゴが外れそうになりました。鯖としては、本屋の主張通り、表紙に警告マークを入れる、ビニールカバーをつけるなどの対応をして一定年齢以上の顧客に販売するのは問題ないと思う。
一本釣りのごとく個別にエロ本を摘発するより、現実と虚構の区別をする、現実世界では法に基づいた常識的な判断をするように個人の理性を鍛えることに力を尽くすべきでしょう。
バトロワ見たからって、誰もが殺し合うわけではなし。
自分が生きていく上での判断と、虚構の作品を混同してしまう程度の理解力しかない人に、そういったものを見せるべきではないけれど。判断が出来て、それはそれで楽しめる人がわかっていて目にすることを制限すべきではないと思うよ。

さらに
・同人活動の内容のシフトについて
私が小中学生だった頃は、「本を読まなくなり、漫画ばかり読んでいる」と良く言われたものです。
ま、現に漫画ばっかり読んでましたけどね。
でも、昨今の小中学生には、漫画さえも読めない人が存在するんです。
家庭教師のバイトに行ってビックリした。部屋には漫画もないの。あるのは、Non−noみたいな写真ばっかりのファッション雑誌。しかもその子が特別どうというわけではない。

それが何に影響するかといえば、活動内容です。

同人活動で、作る同人誌の内容といえば、パロディ漫画や小説、創作作品(この場合はオリジナルの漫画や小説)、評論、趣味についてのトーク本などが主だと思っていたのですが、本を作るサークルは減る傾向にあるのを感じます。また、その本もどんどん薄くなり、イラスト集的な様相を呈して来ています(絵や文章の技量に関わらない。正直、この雑なイラスト集を買うやつはおらんだろ、というサークルもある)もしくは便箋やラミカードなどのグッズばかりだったり。

また、ジャンル変遷の早さも感じる。未だにC翼とか☆矢をじっくり描きつづけていて、本当に原作好きなんだなと思わせるサークルが存在する一方で、原作がクライマックスを迎えると同時に、蜘蛛の子を散らすようにそのジャンルから人が撤退し、新しいジャンルに流れて行ってる。回転早い…。
本当に、そのジャンルが好きで、同人誌を作った、というのじゃなくて、流行ってるから、これが売れるから、でやってる人が少なからずいるように思えるのはとても悲しいことです。
※一昨年・G種→今年の夏・鋼→今年の冬・種運命、と変遷しているサークルの何と多い事か。言いたくないけど、年齢層の低いサークルほど愛着なさそう…。根気がないというか。萌えの自己発電が出来ないんだろうね。私なんて、はまれば年単位で自給自足よ?

ヲタにはまっていながら、全体的に萌えを読みこなす力、同人誌に昇華させる能力が低くなってきているのではないかと思う。与えられるものを甘受するだけの消費者に。何もしなくても、商業ベースは次から次へと新しいものを与えようとするし、それを楽しむだけならこんなに楽なことはない。

確かに、漫画描くのって大変だしね…。考えて描こうとすればするほど泥沼だし。

そうやって、同人そのものについて考えると暗くなってくるんですけど。
そんな中で鯖友A子とナルト本製作計画が微妙に進行中。←懲りないヤツめ…。

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鯖

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