鯖、呆ける。

今まで二十数年生きてまいりましたが、呆けて時が止まったのは初めてでございました。

今日、鯖は午前中、事務所から歩いて十五分ほどのところにある官庁へお使いに行きました。その帰り、昼食のパンでも買おうか、と通りかかった雑貨屋さんのようなお店に入りました。

雑貨屋さんというよりは、雑貨屋さん＋コンビニ÷2という感じで、やや内装はコンビニ寄り、でも置いている雑誌がひょっとして先月のやつ？買い逃した人に教えてあげなくちゃ！そして、店番をしているのは推定年齢七十五歳のおばあちゃんで、客なんだか友人なんだかわからないおばあちゃんが中の椅子でくつろぎながらおしゃべりちゅうとといった様子。

とりあえず、棚からパンを二つ取り、レジへ。
その時、鯖はショルダーバックと大きな紙袋を持っておりました。とりあえず紙袋を下に置き、清算。

おばあちゃんがパンをビニール袋に入れようとしたので、鯖はいう。
「ビニール袋いらないですよ。カバンに入れていきますから。」

おばあちゃんは鯖を見ていいました。

「そうですか、ありがとうございます、奥さん」

その時、店内を静寂が支配するのを鯖は感じました。

奥さん？

奥さん？

奥さんと言いましたか、あなた。そしてそれは鯖に向って言ったんですか？
※もちろん店内にいるのは、上記の3人だけである。

時間が流れるのが止まることってあるんだなと思いました。
確実に3秒くらい時間が止まってました。
鯖の呼吸も多分止まってました。
鯖の脳活動もきっと止まっていたでしょう。普段は低下程度ですんでますが、あの時は止まってました。

二十数年生きてきて、初めて「奥さん」と呼ばれました。
そんな風に見えましたか？
197円支払うのに、207円出して、おつりが10円になるように計算して出したからですか？
レシートくださいと言ったからですか？

いや、鯖のトシで「奥さん」と呼ばれる立場にあるのは、決して珍しいものではない。現に鯖の同級生で結婚して子供がいる人は何人もいる。早い人だと子供がもう小学生だったりする。
※小学生はさすがに早過ぎか。

だがしかし、鯖には夫どころか、ダーリンもいないんですぜ？

おばあちゃん、鯖が「奥さん」に見えたんでしたら、鯖の「ダーリン」も見えていたんですよね？どんな感じでした？ぜひ参考にさせてください。
※聞くな。

そうか。ダーリンがいなくても奥さんにはなってしまうのか。（違う。）
遠い目をしてつぶやく鯖でございました。