シルヴィ・ギエムの「ボレロ」を観にいってきました。
鯖の通勤ルートに、そういう文化事業団系催し物の掲示板があって、そこで見かけたポスターに「100年に1人の天才ダンサー」とあったので、そんな人が鯖居住のみちのくまで来ることはそうそうあるまい、これは行かねばと思ったのです。
(後で知ったのですが、みちのくにこないだけで、結構来日自体はしているらしい。鯖が江戸に行けばよかったのか。そうか。)

演目は、東京バレエ団の「テーマとコンビネーション」(…違ったかも。こういう感じの名前だったような記憶が。)、「春の祭典」、ギエムの「ラシーム・キュービック」、「ボレロ」でした。

最近疲れ気味で、公演観に行く気力あるかなとちょっと不安だったため、チケットを前もって購入していなかったので、当日券に期待したのですが。

立ち見でした。(しかも値段はC席と一緒だ。立ち見ってそういうもんなのですか?シート席よりちょっとは安くなるもんだと思っていたのですが。)

しかし、図々しくも一番後ろのど真ん中、音楽ブースの真後ろに陣取る鯖。立っていること以外は、最高の位置と見た。ちょっと遠い気もするが、まあ、舞台全体が見えるから良いこととしよう。これも、勢いで一人で観に来ているからできる技。
連れがいたら止められること請け合い。

で、感想なのですが。

ギエム、すごいです。なんかもう、人生の公平不公平を論じる気分にもなれません。
鯖と本当に同じ種族の生物なのか?

体型も違うが、機能が違いすぎ。仮に鯖が鍛えたとしても、ああはならないでしょう。(←当然だ。相手は100年に1人といわれるレベルだっちゅーねん。)
世の中にはあんな人もいるんですね。
ああいう人は、技能を磨いて、凡人に天の恵みの素晴らしさを伝えて欲しいものです。鯖はそれを甘受するのみ。

「ラシーム・キュービック」もすごかったですが、「ボレロ」。すごいです。
あれは、もっとたくさんの人に見て欲しいなあ。
人間の身体って、あんなにパワーがあるんだ、と実感できます。
人間の身体が動く様子って、すごいんだと思います。

また、ギエムの身体って、綺麗なんですよ。全然無駄が無くて。おなごのふくよかというか、ほわわん、としたけぶるようなやわらかさは無いかもしれないんですが。
機能性と美しさのギリギリのところなのかなと思いました。
そして、何なんだといいたくなる膝下の長さ。隣に立ってる男性ダンサーより背が低いのに腰の位置は高いってのはどういうことよ。

そんなもんですか。

東京バレエ団については、現代ものだったこともあり、よく分からなかったというのが実感です。
失礼な言い方かもしれませんが、何がいいたいのか分からんもんを延々見ているのって、結構消耗するもんだなと思いました。
満員の観客のうち、ほんとうに素晴らしいと思って拍手している人は何人いたんだろうというのが正直な感想でした。

こう、やはりギエムのように、種族違うんじゃないのかというほどの打撃もなかったのもありましたし。(もちろん、鯖よりずっと美しいのはいわずもがな。)

「春の祭典」は特に、それまでのバレエの概念を超えたとかいう、斬新…斬新なものだったらしいのですが、古典的なものラヴというか、形式美・様式美を愛する鯖にとっては、品が無いように見えました。(←内容ではなく、表現が。)

革新的なものって、わからないのは見るほうの力不足だって言う傲慢さを感じてしまう。分かる人だけが分かればいいという自己満足?
鯖は全然そのよさが分からなかったのですが、それは鯖の理解力が足りないんだ、という感じで。鯖のような人間にも理解できる形で表現しようという努力はなしかい、と思うのはわがまま?(…多分そうなんだろうなあ。)
でも、とりあえず、よくわかんないものをありがたがる風潮には乗りたくないと思う鯖。
保守的なのか?いや、芸術は常に革新と保守のせめぎあいだ。うん。
革新的なものが悪いというんじゃなくて、どう見て欲しいとか、何を感じて欲しいという部分を説明する努力が足りないんじゃないかなと思う上演でした。

今度は、クラシックが見たいですね。白鳥の湖とか、ロミオとジュリエットとか、ストーリーがあるやつ。で、長い年月の間に余分なものが殺ぎ落とされて、エッセンスだけになってるような。時間って、やっぱりすごい力を持ってると思うから。

あまり知識が無いので、モダンとか、現代ものとか、抽象的なものを見ても分からない。でも、命を削って稼いだお金(笑)を払って、見に行くわけですから、楽しみたい。

主催者側にも、何の知識も無いやつが来てもそれなりに楽しめるように、上演前に、作品内容のさわりの紹介くらいしてくれてもいいのかなとは思いましたが。
プログラム買えってか。
もしくは勉強してから来い、ってか。
そんなことしてると、バレエファンはいなくなるぞ、と思う鯖であった。特に、気軽に見に行くという土壌が無い日本では余計にそう思います。
バレエファンが絶滅危惧種になる前に、もっと行きやすい雰囲気ができるといいのですが。

バレエって、そんなにハイソな芸術じゃないでしょ?もっと見に行く人が増えれば、俗な話ですが興行収入も上がるし、結果的にレベルも上がるんじゃないかな。
ハイソになって、滅びていくのもまた豪快でいいですが。

そんな鯖が最近チェックしているのは、牧阿佐美バレエ団(←草刈民代さんがいるところ。)の上野水香さん。同い年なので。
彼女もなあ、同じ日本人としてどうよ、って感じのスタイルしてますよ。
ちょっと前に、東京でローラン・プティさんという振付師(かなり有名らしい)の「デューク・エリントン・バレエ」があって、行きたかったのですが、財布と相談した結果、断念しました。みちのく公演もしてくれればなあ。

まあ、そんなもんです。

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鯖

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